児童文学

大切な悲しい思い出*親切なおばけ

文章だけで
この雰囲気はでないし

絵だけでも
伝わりきらない。

文章と絵が
優しく絡む
お話しです。

主人公の女の子
ノノコちゃん

ノノコちゃんの走り方が
可愛らしい。

よく走る 走る
おてんばで
一生懸命で
可愛らしいノノコちゃん

そんなノノコちゃんの
おじいちゃんが亡くなります。

おじいちゃんの想いを忘れないように
悲しみを悲しみと
理解しきれないまま

その想いを乗り越えようと
必死に
健気に
行動します。

大人からみれば
悪質なイタズラ(お父さん談)
のようなことだけど

そこに
ノノコちゃんの
必死さを感じます。

子どものころ
お葬式って
よくわからなかったよな~
って
思い出しました。

身の置き場がないというか
悲しみの置き場が
わからなかった。

大人は忙しそうで
悲しいはずなのに
お酒のんでにぎやかで・・・。
そんな大人がイヤで
兄弟で火葬場のロビーで
拗ねてました。

子どもの頃の
死へのかかわり方。
悲しみの感じ方。

そんなことを
思い出しました。

1年後のノノコちゃんが
あまりにも成長している姿で
ちょっと驚きました。

でも
1年前のノノコちゃんと
同じ走り方をしていて
あの頃のノノコちゃんも
残ってるんだって
ちょっと安心したりして

ぜんぶがぜんぶ
愛おしい本です。

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あらすじと感想

ノノコちゃん一家が
おじいちゃんと住んでいる家は

床は傾いていて

雨漏りがして

風がふくと ゆさゆさ揺れる

古い古い
年代物で

危ないしろもので

ボロ家で

おばけやしきのような家でした。

それでも
ノノコちゃんには
おじいちゃんがいました。

おばけやしきのような家
に住んでる
『おばけのノノコ』
と言われて

友だちがいなくても
おじいちゃんがいてくれました。

それに
『おばけ』って呼ばれるのも
ちょっと特別な感じがして
そんなにイヤではないって思っていました。

ある寒い冬の夜
大きな物音がして
また家のどこかが
壊れたのかと思っていたら
おじいちゃんが倒れていました。

ノノコちゃんと
最期の会話をして
おじいちゃんは亡くなりました。

寒い寒い冬の日。
ノノコちゃんは
何を思って
何をするのか。

私の幼い頃には
こんな行動力はなかったけれど

それでも
今でも鮮明に覚えています。

おじいちゃんが亡くなった日のことを。

兄弟でロビーで拗ねていたことを。

きっと
おじいちゃんは上から
半透明の姿で
見ていてくれたと思う。

あの日
兄弟だけで悲しんだから
おじいちゃんがなくなってしまった事実を
受け止めきれたと
思っています。

あの頃の想いが
胸にあふれるお話しでした。

幼い頃の
悲しい思い出をもつ人なら

じんわりあの頃を
大切に懐かしむことのできる
愛おしいお話です。

光文社 >
『親切なおばけ』
親切なおばけ
作:若竹七海
画:杉田比呂美
装丁:大久保伸子
2006.12.20

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